Cabot Saint Lucia - Caribbean
最良の時はこれから
新しいゴルフコースの建設はあいにく遅れているが、念願のコースが未開発だというわけではない。すでにメジャー選手権の開催がいくつか決定している新コースから、東半球と西半球の海岸沿いにある感動的なコースまで、将来性のあるプロジェクトを紹介しよう。
ショーン・トルソン
テ アライ リンクス
ニュージーランド
ニュージーランド北島の東海岸には、2015年にトム・ドーク氏が建設したタラ イティ ゴルフ クラブがある。世界のベストコースに常時ランク入りしているプライベートコースだ。世界中どの国のゴルフ雑誌にも、その魅力は紹介されている。ゴルフクラブはプライベートで、会員数も会員資格も限られているため、大多数のゴルファーはタラ イティでラウンド体験ができない。ただし今年後半にテ アライ リンクスがオープンすれば、熱心なファンも現地を訪れて、風にさらされた砂丘でゴルフのラウンドを体験できるようになるだろう。

ここには、純粋なリンクスコースが 2 つある。ビル・クーア氏とベン・クレンショウ氏が設計した完成間近のコースと、今年後半に着工予定のトム・ドーク氏が設計したコースだ。

テ アライを特徴づける地形は変化に富んでおり、隆起した砂の尾根や蛇行した谷、ゴルフ誕生の地イギリスの海岸線にそって広がる砂丘地帯のように雑然とした輪郭まである。クーア氏とクレンショウ氏は風の影響を色濃く映し出す砂地、つまり自然の輪郭が印象的な土地をゴルフコースの候補地として探しており、テ アライはまさに理想の大地だった。「テ アライ リンクスの南コースは、16 ホールから海が見えて、8 ホールが実際に海に面しています」 とクーア氏は語る。「間違いなく、写真映えする風光明媚なコースになるでしょう」。

同様に北コースは一部が海に面しているホールもあるが、内陸部の印象深い地形や地勢もゴルファーに気に入ってもらえるだろうと、ドーク氏は確信している。「18 ホールのうち 7 ホールしか海に面していないという事実を謝罪しなければならないのも奇妙ですが、それだけニュージーランドの最新ゴルフコースは至れり尽くせりなのです」 とドーク氏は語る。 tearai.com
カボット セント ルシア
カリブ海地域
昨年3月、コース設計者のビル・クーア氏とベン・クレンショウ氏は、セントルシアにあるゴルフコースの建設予定地を視察した際、世界に通用する可能性を秘めた土地で仕事ができることに歓喜したという。クーア氏は当時 「過去にも雄大な景観の土地はありましたが、ここはおそらく史上最高に眺めが美しい」 と語った。クレンショウ氏も 「素晴らしい土地だ」 と言う。「こうした風光明媚な環境で、本来の美しさをさらに引き出し、ゴルフ体験も充実させようというのは、かなりの難題です。同時に名誉なことでもあります」。

クーア氏とクレンショウ氏が島の北東部沿岸とカボット セントルシアの建設予定地を訪れた際、プロジェクトの共同開発者マイク・カイザー氏も同席し、開発の初期段階だったコースを見学した。建設予定地は、リゾート兼プライベート住宅コミュニティにあり、新コースとなるカボット ポイントの拠点になる見込みだ。滞在中、カイザー氏は実際にレイアウトを歩きながら、プレイ中にゴルファーが示すと思われる直感的な反応に基づいて、各ホールに 1~10 のスコアをつけた。

こうした評価分析は、カイザー氏所有のゴルフ場で実施されているもので、通常 8~9 点以上のスコアはほとんどない。ただし、カボット ポイントは高評価だった。とくに、パー 3 が連続する16番・17番ホールは、スコアがそれぞれ 9 点と 10 点になっている。世界中のゴルフ場の中で、カイザー氏から 10 点満点を獲得したのは、サイプレス ポイントの16番ホールだけだ。「パー 3 のホールは、ゴルフコースで最も重要です。たった一度のショットですから記憶に残ります。ここのパー 3 は、夢にまで見るほど素晴らしいものです。そんなパー 3 がたとえ 1 つでもあれば、ランキング 100 位前後のゴルフコースでも一気に順位を上げることでしょう。ここには、それが 4 つもあるのです」。 現在のところ、コースは2022年にオープン予定である。 cabotsaintlucia.com
ザ リド
ウィスコンシン州
ロングアイランドのリド ゴルフ クラブは1910年代から1940年代初頭まで創設当時の形を残していたが、アメリカ海軍が土地を購入してから第二次世界大戦の軍事基地に変わった。有名なコース設計者 C.B.マクドナルド氏が手がけたクラシックなゴルフレイアウトは、当時最高のデザインという評判だったが、徹底的に破壊されてしまったのである。

英国の著名なゴルフ専門ライターであるバーナード・ダーウィン氏は、コースの素晴らしさを讃えている。「ゴルフの偉大な先人でさえ、これ以上は期待しなかっただろう」 それから約80年後、バンドン デューンズやサンドバレーを手掛けたゴルフリゾート開発者マイク・カイザー氏を父とする、マイケル・カイザー氏とクリス・カイザー氏は、至宝のゴルフコースを絶滅させてはならないと考えた。アマチュアのゴルフ歴史研究家ピーター・フローリー氏が3年かけて調査し、創設当時のホールの 3 次元デジタルデータを作成したおかげで、カイザー兄弟は全長 6,582 ヤードのコースを元通りに再建するためのロードマップを入手できた。元の場所から 860 マイル以上も離れていたにもかかわらず、である。

デジタルデータを元にゴルフ場を建設するため、カイザー兄弟はトム・ドーク氏を雇用した。20 件以上のコース修復プロジェクトを手掛けた実績をもち、C.B.マクドナルド氏が設計したコースにも関わっていたからだ。ドーク氏は、バンドン デューンズのゴルフコース 6 つのうち、2つをマイク・カイザー氏と共同開発した経験があった。

すべての作業が完了するとサンドバレーに隣接する 850 エーカーの土地に新(旧)リド ゴルフ クラブが誕生することになるが、これは正式にはリゾートの一部ではない。代わりに、リドはセミプライベートコースとして、日曜日の午後から木曜日の夕方までは、リゾートのゲスト限定でプレイが可能になる。それ以外の時間は、会員制のプライベートクラブとして運営される見込みだ。現在のところ、本コースは2023年のオープンを予定している。 thelido.com
PGA フリスコ
テキサス州
フロリダ州パーム ビーチ ガーデンズに本部を置く全米プロゴルフ協会(PGA)は、優れたゴルフコースに囲まれている。PGA 本部をテキサス州フリスコに移転するにあたって環境はまもなく変わるが、チャンピオンシップ級ゴルフコースが近くにあるという事実は不変だ。PGA フリスコと呼ばれる開発地では既に建設工事が進み、ダラスの北に広がる都市部 600 エーカーはゴルフ中心の地域に変化しつつある。ゴルフコース設計者ジル・ハンス氏によると、将来的には米国ゴルフ界のセント アンドリュースとして花開く可能性さえあるという。

ハンス氏は、開発中のゴルフコース 2 つのうち 1 つの設計を担当しているため、現地事情に精通している。(もう 1 つの 18 ホールのコースレイアウトは、ボー・ウェリング氏が設計を担当) 東コースはハンス氏とパートナーのジム・ワグナー氏が手がけたもので、伝統的なリスクとリターンのゴルフ哲学に基づいて設計されている。レイアウトには、ドライバーでワンオン可能なパー 4 のホールが 2 つある。コースの後半 9 ホールは、小川が土地の大部分を蛇行しているため、ゴルファーのコース管理能力と決断力が試される仕様だ。「コースは、地形的にも優れています。テキサス州北部にしては、思ったほど平坦ではありません。これは嬉しい驚きでした」 とハンス氏は語る。「豊かな自然に恵まれた土地で、土壌を守るために最善の方法はないか全力で探しました」

PGA Golf Properties のシニアディレクターであるジミー・テリー氏も、ダイナミックな土地の性質について同感だという。「これほど高低差があるとは誰も思わないでしょうね」 と、テリー氏は語る。「最大で約 75 フィートの高低差があります。丘や尾根を利用してゴルフコースをレイアウトできるのは、本当に素晴らしいことです」 両ゴルフコースは2022年の夏にオープン予定で、オムニホテルズが開発した500室のリゾートホテルは、ゴルフコースのグランドオープンから 6 か月以内に完成する見込みだ。PGA フリスコの開発には総額 5 億 2 千万ドル以上が投じられ、すでに PGA チャンピオンシップを 6 回開催する予定になっている。 visitfrisco.com; omnihotels.com; pga.com