バハカリフォルニアの岬に遊ぶ
バハカリフォルニア半島の最南端に位置する、カボ・サン・ルーカスとサン・ホセ・デル・カボを結ぶ海岸線、通称“黄金回廊”の高級リゾートホテルといえば、これまではワン・アンド・オンリー・パルミラ、エスペランサ・アン・オーベルジュ・リゾート、そしてラス・ベンタナス・アル・パライソ・ア・ローズウッド・リゾートがお決まりだった。しかし近年、メキシコ有数のリゾート地として有名なこの黄金回廊を含めた海岸線一帯の開発ブームにより、バハカリフォルニア半島には、新しい高級リゾートホテルが続々と誕生している。そこにあるのは、地元の生産者から直接食材を仕入れる“ファーム・トゥ・テーブル”の高級レストラン、現実逃避にぴったりのスパ、輝く太陽、サーフスポット、ゴルフ場、そしてメキシコといえば…のテキーラとメスカルだ。さあ、今すぐカボ(スペイン語で「岬」の意味)へ向かう旅の支度を始めよう。

モンタージュ・ロスカボス

老舗ホテルのエスペランサ・アン・オーベルジュ・リゾートとラス・ベンタナス・アル・パライソ・ア・ローズウッド・リゾートのちょうど中間に、2018年に誕生したモンタージュ・ロスカボスは、モダンかつ贅沢な趣とこの土地ならではの景観が楽しめるリゾートホテルだ。サンタマリア湾沿いの閑静な場所にあり、日の出から日没までさまざまに色を変える2つの丘に囲まれた、黄金回廊では数少ない遊泳できるビーチに面している。併設のSpa Montageはメキシコの伝統療法を専門とするスパ。レストランMezcalでは試飲会でテキーラについて楽しみながら学べる他、シェフのOdin Rochaによる、メキシコ各地の伝統料理を取り入れたお任せコースがいただける。滞在中はヨガやスタンドアップパドルボードに挑戦するもよし、プールサイドやビーチのカバナで日がな一日くつろぐもよし。昼下がりに冷たいものが欲しくなったら、メキシコの定番アイスPaletasに因んだ店名のカフェPaletasに立ち寄ってみよう。Electric Arrayはバハカリフォルニア半島屈指の品揃えを誇るギフトショップで、メキシコ特産の陶器、織物、各地の民族衣装が並んでいる。 montagehotels.com  —Stacie Stukin

フォーシーズンズリゾート・ロスカボス・アット・コスタパルマス

黄金回廊から東へ車で約90分。バハカリフォルニア半島を横断した東の岬、その名もイーストケープに、フォーシーズンズリゾートが開発を進めている土地がある。シエラ・デ・ラ・ラグーナ山の麓、穏やかな波の遊泳可能なビーチが続く抜群のロケーションだ。ここにオープンした同ホテルは、メキシコの建築様式をベースにした落ち着きのあるミニマルデザインが特徴。人気のスイートルームは、コルテス海を見下ろす最上階に作られている。レストランは5つ、地元で取れた新鮮な魚介を調理する、ギリシャ発の有名シーフードレストランEstiatorio Milosや、コーヒーとスムージーが楽しめるオープンエアのカフェなど。自然派スキンケアブランド「タタ・ハーパー」の製品で施術を行うスパでくつろいだら、テニスやバスケットボール、バレーボールのコートでひと汗かこう。400ヘクタール余りにわたる敷地内には、ヨットハーバー、フィットネスセンター、プライベートヴィラ(一部は賃貸可)がある他、メキシコ初のアマン系リゾート、アマンヴァリも近々オープンする予定。なお、半島南のカボと東のコスタパルマスの中間にある、ユネスコ世界遺産区域のカボプルモ国立海洋公園は、シュノーケリングとダイビングのベストスポット。海洋研究者のジャック=イヴ・クストーが“世界の水族館”と称えたコルテス海の魅力を探ってみよう。 fourseasons.com  —S.S.

ザドゥン・ア・リッツカールトン・リザーブ

メキシコで初となる、リッツカールトンの上位ブランド「リザーブ」を冠したこのホテルは、2019年後半、サン・ホセ・デル・カボのすぐ北にオープンした。自然の景観を守りながら開発された敷地内には、在来植物の間を縫うように延びる小道があり、そこからコルテス海の水平線が見晴らせる。ほとんどの客室がプライベートプール付きで、メキシコの織物、木や石などの自然素材、職人によるディテールを取り入れた、個性的かつシックな内装。豊かな緑が窓の外に広がるSpa Alkemiaはトリートメントルーム、瞑想やヨガのスペース、プールを備えており、マインドフルネスを取り入れたアクティビティーも好評だ。レストランは、オープンキッチンと隣の洞窟内に充実のワインセラーを備えたパンラテンアメリカ料理のHumo、そして地物の魚介類を使った、斬新で見た目にも美しいペルー料理を出すEquis(ここは宿泊客以外も利用可能)など。アウトドアのアクティビティーでは、「環境大使(Ambassadors of the Environment)」という自然と触れ合えるプログラムがお薦め。コルテス海でのスキューバダイビングやシュノーケリング、バードウオッチング、天体観測、またはお好みでその全てに参加できる。ritzcarlton.com  —S.S

ノブ・ホテル・ロスカボス

2019年4月に半島の先端にオープンしたノブ・ホテル・ロスカボスは、ミニマルな和のテイストとメキシコの素材を融合させたデザインが特徴。広い客室も派手さを抑えたシンプルな内装で、日本式の深いバスタブを備えている。中でもお薦めは角部屋の客室で、極上のオーシャンビューが楽しめる。メインダイニングのNobuでいただけるのは、ギンダラの味噌漬けなどの定番メニューに加え、地物の魚介を取り入れたここだけの新メニュー。この他、カジュアルなカリフォルニア料理レストランのMalibu Farmなど全7店がある。スパで受けられるハイドロセラピー(水療法)は、ジムで一汗かいた後のクールダウンに最適。もっとも、このホテルの魅力を最大限に享受できるのは、ゴルファーかもしれない。なにしろ隣接するゴルフクラブDiamanteには世界的なコースが2つあり、その一つ「The Dunes」は世界トップ100に数えられる、ラテンアメリカを代表するコースなのだ。プロゴルフ選手デービス・ラブ三世の設計による景観の素晴らしい難関コースを回り、ラウンドの合間にタマレなどの軽食やマルガリータを楽しもう。もう一つの 「El Cardonal」は、タイガー・ウッズが初めて設計を手掛けたコース。こちらはカリフォルニアの老舗コースを彷彿とさせるレイアウトで、プレーヤーは美しい海を眺めながら砂丘や起伏に富んだ地形に挑戦する。nobuhotels.com  —S.S.

ウォルドーフ・アストリア・ロスカボス・ペドレガル

海辺のアイコン的存在だったザ・リゾート・アット・ペドレガルが新たなブランド名を冠し、2019年、ウォルドーフ・アストリア・ロスカボス・ペドレガルとしてオープンした。場所はカボ・サン・ルーカスの喧騒を抜けた静かな入り江で、約10ヘクタールの敷地内に広大なビーチが広がっている。広いテラスとプライベートプールを備えたスイートルームとヴィラ115室・棟は、視界を遮るもののないオーシャンビュー。また、内装にはメキシコ各地の色彩豊かな工芸品、織物、オブジェを配し、31州に及ぶこの国の多様性を表現している。約1100平方メートルの大型スパWaldorf Astoria Spaでは、月の満ち欠けやメキシコ古来の儀式に基づき、クランデロ(伝統療法の治療師)が清めた材料を使うユニークなトリートメントを提供。毎月、新月の日に行われるプログラム「自己愛とウエルネスの週末体験(Self-Love Wellness Weekend Experience)」では、呼吸法と運動、瞑想を通じて心身を浄化する。さらにバハカリフォルニア半島の自然を満喫できる7つの小旅行プログラムもあり、ラパス沖でのジンベイザメとの遊泳や、シエラ・デ・ラ・ラグーナでの温泉体験などから選べる。waldorfastorialoscabospedregal.com  —Paul Rubio