本物のサーフパラダイス
何キロにもわたって続く海岸線に極上の波が打ち寄せるバリ島は、ラグジュアリーなサーフリゾートのメッカだ。数々の高級ホテルが経験豊富なインストラクターと提携し、贅沢なプログラムを提供している。

2018年にオープンしたCOMO ウマ・チャングー(comohotels.com)は空港から車で約1時間、にぎやかなスミニャック地区から約11キロの距離にある南部の小村初の五つ星ホテルだ。約8900平方キロにわたって続く火山性の黒砂のビーチに立ち、ホテルの三方を水田、そして何百年も前に建立されたヒンドゥー教の神社が囲んでいる。建築家の池渕孝一郎とインテリアデザイナーのパオラ・ナヴォーネがタッグを組み、バリ島やアジアの建築様式と洗練されたイタリアンスタイルを融合させて設計した5棟の複合施設は、シックながらビーチらしさも感じられるミニマムな空間。ビーチらしさといえば懐かしのバンド「ザ・ビーチ・ボーイズ」のにぎやかなイメージが浮かぶが、ここは全く逆の、くつろぎを感じさせる落ち着いたデザインになっている。

同ホテルで提供されるサーフプログラムは、サーフインストラクターのRoss Phillipsが20年以上前にオーストラリアで立ち上げたTropicsurf社によって運営されている。Phillipsの理想は、サーフィンのスリルを安全で快適、かつお金を払えば誰でも体験できるようにすることだった。よってここでも、あらゆるスキルと年齢に対応するカスタムプログラムを提供している。全くの初心者はまず、敷地内にある全長約115メートルのラグーンプールで基本を学ぶ。一方、中上級者が向かうのはホテルから徒歩圏内にある、難易度の異なる6つのサーフポイントを持つ海岸、もしくは車ですぐの、さらにポイントの豊富なスポットだ。全てのサーファーが一日を開始するシックなサーフハウスSurf Shackには、厳選された装備がそろっている(ショートボード、フィッシュボード、ハイブリッドボード、ロングボードなど)。「サーフィンはバランスが大切です。しかしサーフィンをしない同伴者についても、バランスを取りたいものですね。つまり一緒に来た方も同じように素晴らしい体験をしなければ、最高の休暇とは言えません」。そう語るのは、所属ガイド――スカンジナビア出身で建築の学位を指導に生かしているCJ Kimellだ。「そしてここには、サーフィンをしない方も楽しめる何かがあります」。

同じくTropicsurf社が提携しているフォーシーズンズリゾート・バリ・アット・ジンバランベイ(fourseasons.com)は、1993年のオープン当時、バリ島にモダンリゾートの波を巻き起こした立役者だ。そして23年後 の2016年、2年間にわたる全面改装を終え、競争の激しい同地で再びその輝かしい地位を取り戻すべく進化を続けている。高い石垣に囲まれた敷地内には、バリ島の伝統建築様式を取り入れたヴィラ147棟が並び、そのほとんどが庭とプライベートプール付き。室内はリビングルームとベッドルームが分かれた間取りで、改装により全体的な空間とプールが拡張されている。この他、新たに誕生したのは、2つのヴィラ――邸宅風の「Imperial」と「Royal」だ。さらにHealing Village Spaも全面改装を経て、屋外プライベートリラクゼーションエリアを備えた10室のトリートメントスイートルームが新設されている。なお、アクティビティーで注目すべきはヘリコプターでジャワ島沖合に行くサーフツアーで、Tropicsurf社の主催だ。

上級サーファー垂涎のビーチがホテルの目の前という立地のアナンタラ・ウルワツ・バリ・リゾートは(antara.com)は、2019年に改装工事を完了。全室スイートルームのこのホテルは、豪華な複合リゾートというよりむしろ正統派の高級ホテルだが、その恵まれたロケーションとサーフスクールOdyssey Surf Schoolとの提携で知られており、リゾート前のインポッシブルビーチ他、近隣のパダンパダンビーチやドリームランドビーチを探索するサーフプランを提供している。 —Colleen Curtis